あとから御朱印帳

御朱印とは何か? 参拝の証という意味と、その由来、書かれていること

御朱印とは、神社や寺院に参拝した証としていただく、墨書と朱の印のことです。神社本庁は「神社参拝した証としていただく御朱印」と説明し、その起こりを、奈良・平安の昔に書写した経典を奉納した際にいただいた「納経受取の書付」ではないかとしています。書かれているのはおおむね4つで、奉拝・寺社名や本尊の名・参拝日・朱の印です。その場で手書きされるものなので、自分で押す記念スタンプとは別のものです。

公開: 文: 友田 陽大(あとから御朱印帳 開発者)

この記事の要点

  • 御朱印は参拝の証としていただく墨書と朱印で、その場で手書きされます
  • 書かれているのは奉拝・寺社名や本尊の名・参拝日・朱の印のおおむね4つです
  • 由来は写経を納めた証(納経受取の書付)とされ、神社本庁自身が断定を避けた言い方をしています
  • 「御朱印」という呼び名が見られるようになったのは昭和10年ごろで、習慣そのものより新しい言葉です

この記事は、御朱印とは何か・何が書かれているか・その由来を扱います。寺社ごとの授与の有無や受付時間、お納めする額は動くので書きません。当日の掲示でご確認ください。

御朱印とは何か

神社や寺院に参拝した証として、その場で書いていただく墨書と、上から押される朱の印のことです。 帳面を預けると、寺社の方が筆で書き、朱の印を押してくださいます。

言葉の作りは単純です。朱印(しゅいん)が朱の印そのもので、頭に敬意を表す「御」が付いて御朱印になります。これを受ける帳面が御朱印帳です。神社本庁は公式サイトで「神社参拝した証としていただく御朱印」と説明し、御朱印帳を「参拝した時の感動を永久保存してくれるかのようなかけがえのない存在」と書いています。

説明を求められたときに外せない点は、印刷物ではなく手書きであるということです。同じ寺社の同じ図柄でも、書く方が違えば、同じ方が違う日に書けば、線はそのたびに違います。複製ではないので、1枚ごとにその日の参拝と結びついています。

御朱印には何が書かれている?

おおむね4つです。奉拝・寺社名や本尊の名・参拝日・朱の印。 どこに何を書くかは書き手によって変わりますが、この4つは繰り返し現れます。

要素 よく置かれる場所 何か
奉拝 右上 「つつしんで参拝しました」。寺院では「奉納経」など別の言葉のこともある
寺社名・本尊の名 中央、いちばん大きく 寺社の名、または祀られている神仏の名
参拝日 左寄り、または奉拝の下 参拝した日。和暦で書かれるのが通例
朱の印 墨書の上に朱で 1つとは限らない。寺社の印がいちばん大きいことが多い

4つを組として覚えておく意味は、これが紙の側に残る参拝の記録の全部だという点にあります。読みも、ローマ字も、住所も、地図の手がかりも書かれていません。文字が読めなければ、その紙はどこの御朱印かを教えてくれません。

参拝日が和暦なのは、御朱印が古い書式のなかにあるため

参拝日は和暦で書かれるのが通例です。令和元年は2019年5月1日から、平成元年は1989年1月8日からなので、2026年の参拝は令和8年と書かれます。

ただし通例であって、必ずではありません。日付を入れない形の帳面もあり、霊場を巡っていただく納経帳では墨書に日付を入れないことが多く見られます(扱いは霊場や札所によって違います)。元号の境目と、記録に移したときに並び順が崩れる理由は「御朱印に書かれている日付が和暦なのはなぜ?」に表でまとめました。手元の御朱印の元号そのものが読めないときは、五つの元号の見分け方と漢数字の日付の読み方を別の記事にしています。

由来——写経を納めた証だったとされる

神社本庁は、御朱印の起こりを「奈良・平安の昔、神社仏閣に書写した経典を奉納した際にいただいた『納経受取の書付』ではないか」と書いています。 注意して読むと、神社本庁自身が「ではないかといわれています」と断定を避けています。 確定した事実として説明されているものではありません。

その古い呼び名は今も残っています。納経(のうきょう)は写経を納めることで、霊場によっては帳面を納経帳、いただく印を納経印と呼びます。四国など、霊場を巡る場では今でも使われる言葉です。寺院の御朱印に「奉納経」と書かれることがあるのも、同じ由来を指しています。

呼び名のほうは、思われているより新しいものです。神社本庁は「昭和10年頃から『御朱印』という呼称が見られるようになります」と書いています。 習慣は古く、言葉は新しい、という順序です。

由来から1つ実際に効くことが導けます。御朱印は参拝という行いに結びついた証であって、窓口で受け取る引換券ではありません。だから参拝が先に来ますし、授与するかどうかも寺社の側が決めることになります。

自分で押す記念スタンプとは別のもの

押すものではなく、書いていただくものです。 寺社や駅、城には、朱肉やスタンプ台と一緒に置かれた記念の印が用意されていることがあります。あれは参拝者が自分で押すもので、御朱印とは別の系統のものです。

日本政府観光局(JNTO)は英語の案内で、御朱印は神聖なものと受け止められているので、御朱印帳に別の種類の印を入れることは避けるようにと書いています。両方を残したいなら、記念の印用のノートを分けて持つのが穏当です。

英語圏では御朱印が shrine stamp / temple stamp と訳されることが多く、この訳が「押すもの」という誤解の入口になっています。御朱印と、自分で押す印との違いは別の記事で扱いました。

いただく前に決めておくと楽なこと

帳面・言葉・自分の側の書き留めの3つです。 どれも参拝の前なら数分で済み、授与所の前に立ってからでは決め直しにくいものです。

  1. 帳面。 御朱印帳は寺社でも文具店でも求められます。寸法と綴じ方、そして残りのページ数は先に見ておくほうがよく、思っているより早く埋まります。
  2. 言葉。 何と申し出るかを1つ決めておくと、迷いがほとんど消えます。
  3. 自分の側の書き留め。 紙の側には読みが入りません。寺社名を自分の字で1行書き留めるだけで、後述の困りごとのほとんどが起きなくなります。

1日に何か所回れるか、受付の時間が順路にどう効くかは「御朱印をいただく参拝の計画の立て方」にまとめました。

帰ってから読めない——ここを書いた案内が少ない

「いただき方」と「作法」を書いた案内は多く、「読めない紙が手元に残ったあと」を書いたものはほとんどありません。 記録が記録でなくなるのは、たいていここです。

参拝から1週間後の状態を思い浮かべてください。11枚あって、4枚は場所をはっきり覚えている。3枚は写真から場所を割り出せる。残る4枚は、読めない墨書の上に読めない印が押してあり、日付は普段使わない暦で書かれている。帳面は美しいのに、どこへ行ったかの台帳ではなくなっています。

防ぐ手は3つで、どれも参拝したその日なら軽く、あとからでは取り返せません。

  • その日のうちに1枚撮る。 授与所を離れてからで構いません。写真には撮影日時が記録されるので(EXIF といいます)、どの紙がどの日のものかを言い当てる最も強い手がかりになります。
  • 寺社名を自分の字で書き留める。 紙の側は代わりにやってくれません。
  • 紙と写真の順序をそろえておく。 あとから順番の違う場所に貼ると、手元に残っている並びそのものが崩れます。

すでに参拝が終わったあとに読んでいる場合でも、諦めることはありません。文字と印、前後の写真からたどるのは実際に通る方法で、どこの寺社の御朱印かを割り出す手順を順に書きました。溜まった写真の側から整理を始めるなら「スマホに溜まった御朱印の写真を、あとから整理して記録する手順」が入口になります。

作法は寺社ごとの判断に委ねられている

どこでも変わらないことは1つだけで、参拝が御朱印より先に来る、ということです。 日本政府観光局(JNTO)の英語の案内も「列に並ぶ前にお参りを」と書いています。

それ以外はほとんど現地の判断です。帳面に直に書くか紙でお渡しするか、その日に授与しているか、授与所の近くで写真を撮っていいか、何をお納めするか——どれも寺社ごとに決められていることで、インターネット上の文章が代わりに答えることはできません。掲示を読み、掲示が無ければ伺ってください。

この記事が寺社の名前を1つも挙げていないのも同じ理由です。個別の寺社について書いた事実は、その寺社が運用を変えた週に嘘になり、それを信じた参拝者が閉まった授与所の前に立つことになります。

記録として残すなら

このサイトで開発しているアプリ「あとから御朱印帳」は、すでに埋まった帳面の写真を、参拝した日の順に並んだ台帳にするための iOS アプリです。 参拝の計画を立てる道具ではなく、紙が手元に溜まってからのものです。

手順は上の困りごとに対応しています。写真ライブラリから複数の写真をまとめて選ぶと、撮影日を参拝日の初期値にして並びます。そこから参拝日を和暦で——令和・平成・昭和・大正・明治から元号を選んで——写真ごと、または範囲をまとめて直します。これが、ばらばらの画像を参拝した順に戻す工程です。最後に冊に入れるとページ番号が振られ、どの冊の何ページ目・いつ・どこの御朱印かを後から引けるようになります。

寺社名は自分で入力し、一度登録した寺社は次から候補に出ます。記録と写真は端末の中だけに保存され、ログインもアカウント登録もありません。1冊目は購入なしで件数の制限なく記録でき、2冊目以降の冊と、取り込んだ写真をまとめて冊に入れる操作には買い切りの「台帳フル」が要ります。購入で使えるようになる範囲は料金の案内にまとめました。価格は App Store の表示をご確認ください。

できないこともはっきりしています。墨書を読んでどの寺社かを判定することはしません。 手書きの字を見て寺社を当てられるアプリはありません。できるのは、日付と寺社名とページを1か所に置いて、割り出せたものが二度と行方不明にならないようにすることです。だからこそ、参拝したその日に寺社名を書き留めておくことが効きます。

よくある質問

御朱印と、自分で押す記念スタンプは同じものですか?
別のものです。御朱印は寺社の方が墨で書き、朱の印を押してくださるもので、参拝の証にあたります。記念スタンプは朱肉やスタンプ台と一緒に置かれていて、参拝者が自分で押します。日本政府観光局(JNTO)は英語の案内で、御朱印帳には別の種類の印を入れないようにと書いています。両方を残したいときは、記念スタンプ用のノートを分けて持つのが穏当です。
「奉拝」とはどこに書かれていて、どういう意味ですか?
「つつしんで参拝しました」という意味の言葉で、多くは右上に書かれます。参拝日はその下か左寄りに、寺社名や本尊の名は中央に大きく入るのが一般的です。寺院では奉拝ではなく「奉納経」のように別の言葉が入ることもあり、これは御朱印の由来である写経の奉納をそのまま指した言い方です。
御朱印帳に書いていただく場合と、紙でいただく場合があるのはなぜですか?
どちらの形にするかは、その寺社の判断に委ねられています。帳面を預けて直に書いていただく場合もあれば、あらかじめ書いて印を押した紙(書き置き)をいただく場合もあります。どちらが正式ということはなく、同じ寺社でも平日と行事の日で違うことがあります。紙でいただいたものは、持ち帰ってから帳面に貼るか、そのまま保管するかを選べます。
いただいた御朱印が、あとから自分でも読めなくなるのはなぜですか?
3つが重なるためです。墨書は続け字で書かれることが多く、朱の印は日常の活字とは形の違う古い書体で刻まれていることが多く、参拝日は和暦で書かれています。どれも書き手の落ち度ではなく、御朱印が印刷物ではなく手書きの証である結果です。だから、覚えておきたいことは参拝したその日に自分の側で書き留めておくのが確実です。
参拝せずに御朱印だけをいただくことはできますか?
御朱印は参拝の証ですから、参拝が先です。日本政府観光局(JNTO)の英語の案内も「列に並ぶ前にお参りを」と書いています。それ以上のこと——授与しているかどうか、受付の時間、お納めする額——は寺社ごとの判断に委ねられています。当日の掲示と社務所・寺務所での案内に従ってください。この記事を含め、事前に書かれたものを当日の根拠にしないでください。