御朱印が紙で渡されたのはなぜ? 書き置きの理由と、受け取ったあとの扱い
紙で渡される御朱印は「書き置き」といい、参拝より前にあらかじめ和紙や半紙へ書かれた(または印刷された)ものです。紙になる理由は、書き手が不在であること、参拝者が多くて一人ずつ書けないこと、印刷でしか出せない意匠であることのいずれかで、断られたわけでも粗略に扱われたわけでもありません。受け取った紙をどうするかに全国共通の決まりはなく、御朱印帳に貼る・専用のファイルに挟む・そのまま保管するのいずれも普通の扱いです。ただし紙にはページの前後という手がかりが無いので、境内を出る前に紙そのものと寺社名の掲示を写真に撮っておいてください——あとから「どこの・いつの」を決める材料は、その写真しか残りません。
この記事の要点
- 書き置きは、参拝の前にあらかじめ和紙や半紙に書かれた(または印刷された)御朱印です
- 紙になる理由は、書き手の不在・参拝者の多さ・印刷の意匠のいずれかで、こちらの都合とは関係ありません
- 貼る・挟む・そのまま保管のどれも普通の扱いで、どうするかは寺社ごとの判断に委ねられ、そのうえで持ち主が決めます
- 紙にはページ番号も前後の御朱印も無いので、境内を出る前に紙と寺社名を撮っておくと「どこの・いつの」が残ります
この記事は「御朱印とは何か? 参拝の証という意味と、その由来、書かれていること」の一部です。
この記事は、御朱印をお願いしたら帳面ではなく紙を渡された、という場面だけを扱います。どの寺社がどう対応しているかや、お納めする額には踏み込みません。
なぜ帳面に書いてもらえず、紙で渡されたのか
その御朱印が、参拝より前にすでに書かれていたからです。 あらかじめ用意された紙の御朱印を書き置き(書置き)といいます。墨書と朱印は帳面のページではなく和紙や半紙の上にあり、渡された紙は持ち帰って、どこに収めるかを自分で決めることになります。
断られたのでも、粗略に扱われたのでもありません。帳面を預けたのに何も書かれずに戻り、紙が挟まれていた——それが書き置きの普通の形です。
そもそも御朱印に何が書かれているのかを先に押さえたい場合は、御朱印と「shrine stamp」「temple stamp」が指しているもののずれで、呼び名ごとに何を指すかを整理しています。
寺社自身は、書き置きをどう説明しているか
参拝者の推測ではなく、紙を渡す側の言葉で読んだほうが確かです。
栃木の朝日森天満宮は、書置きの御朱印を「すでに和紙に書かれた(もしくは印刷された)御朱印」と説明し、いただいた場合は自分で御朱印帳に貼る必要が出てくると書いています。同じページには、境内で迷いやすい点の答えがそのまま置かれています——ふだん直書きをしている寺社でも、神職が不在の場合は書置きでの対応になることがある、と。
聖光寺(寺院)は、書置きを「あらかじめ用意された御朱印を紙でもらう形式」と説明し、何に向くかとして、並ばずに受けられること、その場では書けない意匠や期間限定のものが出せること、帳面を持たずに参拝できることを挙げています。
どちらの説明も、2つの形に上下を付けていません。 同じものを受け取る2つの道として並べ、選ぶのは参拝者だという書き方です。
実際に出会う3つの理由
| 境内で見えるもの | 起きていること | すること |
|---|---|---|
| 授与所が無人、または紙と箱が並べて置かれている | 今日は書く人がいない | 紙を1枚いただき、そばの掲示に従ってお納めする |
| 「本日は書き置きのみ」の掲示がある | 一人ずつ書ける人数を超えている | 紙をいただく。掲示が答えなので、重ねて伺うことはない |
| 紙が多色で刷られている、季節の意匠が入っている | その場で筆では出せない意匠 | 紙をいただく。その意匠そのものがこの形 |
3つのどれも、参拝者の側の事情とは関係がありません。初詣の時期、祭礼の日、同じ時間に葬儀や法要が入っている——どれも、ふだん直書きをしている寺社をその週だけ書き置きにします。
書き置きは格が下なのか
上下を決める基準はなく、参拝者の側から付ける話でもありません。 上に引いた神社と寺院は、どちらも2つの形を並べて説明しています。多色刷りや季節の意匠は、紙でなければ成り立たないものが多くあります。参拝者が多い日に、小さな授与所が来た人すべてに応じられるのも紙の形だからです。
書き置きが実際に負わせるものは、格とは別のところにあります。紙は帳面の中の位置を持たないので、どこでいただいたかを紙そのものが記録していません。 この記事の残りは、その1点についてのものです。
受け取った紙をどうするか——普通の答えは3つ
| 扱い | 選ぶ理由 | 知っておくこと |
|---|---|---|
| 御朱印帳に貼る | 帳面が全部の置き場所であり続ける | 急ぐ必要はなく、ページの順が参拝の順と一致していなくてよい |
| 書き置き用のファイルに挟む | 紙の大きさがそろわず、糊で固定しない | 透明なポケットが並んだ専用のファイルが広く売られている |
| そのまま保管する | まだ決めていない。後で決めても損が無い | 紙だけでは順序を持たないので、記録は別に持つことになる |
書き置きをどう扱うべきかは、寺社ごとの判断に委ねられており、そのうえで持ち主が決めることです。 貼れという決まりも、貼るなという決まりも、全国共通のものはありません。特定の寺社の考えを知りたいときは、次の参拝で伺うのが確実で、これはどのサイトにも代われません。
紙が引き出しの底で束になってしまっている場合は、糊の話から始めずに、貼らないままの書き置きを同定して並べ直す順番のとおりに進めてください。
紙をしまう前の30秒
いま立っている場所で紙そのものを撮り、続けて寺社名の掲示を撮ってください。 この記事のなかで、あとから取り返せないのはここだけです。
帳面に書かれた御朱印は、帳面に支えられています。ページ番号があり、前後に別の御朱印があり、文字が1つも読めなくても、ページの順がおおよその時期と順序を伝えます。紙にはそれがありません。 鞄の中に入れば、読めない墨書の紙が数枚あるという状態になり、しかも墨書は寺社名と定型句の切れ目すら見分けにくい形です。
写真は2枚、それぞれ数秒です。
- 紙を平らに、全体が入るように。 墨書・朱印・日付があれば日付が読める大きさで。
- 寺社名が分かるもの。 社号標や寺号標、入口の案内板、授与所の掲示。
スマートフォンは撮った写真に日時を書き込みます(EXIF といいます。カメラが写真そのものに書き込む撮影日時などの情報です)。2枚目が1枚目を場所に結び、日時が両方を日に結びます。紙に日付が無ければ、手元に残る日付はこの撮影日時だけになります。
今日は読める紙でも2枚撮ってください。 ひと月経てば、受け取った瞬間に読めていた墨書は、また読めない墨書に戻ります。
すでにその段を過ぎて、どこのものか分からない紙を持っている場合は、紙の上にあるものから当たる手順を御朱印からどこの寺社のものかを絞り込むにまとめました。
紙の日付はどこから来るのか、来ないのか
3つの形があり、どれになるかは寺社が決めることで、決まりがあるわけではありません。
- 渡すときに書き入れていただく。 その日が参拝日です。
- 参拝者が書き入れるように空けてある。 書き忘れではなく、空けてあります。
- あらかじめ印刷されている。 その場合、紙の日付は寺社が決めた日付で、参拝した日とは違うことがあります。
日付欄が空いていて、自分で書き入れるか迷う場合は、書き置きの日付を自分で書き入れるかどうかの考え方に分けて書きました。要点は、その場で伺えるなら伺い、伺えないなら紙には手を入れず参拝日を記録の側に残す、という順です。
日付が書かれている場合、それはたいてい西暦ではなく和暦です。和暦の日付の読み方と西暦への直し方に境目の日をまとめました。つまずきやすいのは2019年で、この1年の中に2つの元号が入っています。
帳面が満杯になって、以後すべて紙になった場合
これは珍しくありません。旅先で3日目に帳面が尽きると、以後の御朱印は全部が紙になり、旅の終わりには紙のほうがページより多くなります。その場で授与所にどう伝えるか、増えた紙をどうするかは、旅の途中で御朱印帳が満杯になったときの対処にあります。
帰ってから起きること
順番まで決まっています。
- 紙に順序が無い。 鞄から出した順に並んでいて、参拝した順ではありません。
- 1枚だけ置き場所が決まらない。 その日が忙しかったのは覚えているが、4か所のどれだったかが決まりません。
- 日付が無い。 紙にも無く、記憶にももう残っていません。
3つはどれも同じことです。紙は御朱印を載せていますが、それ以外を載せていません。 帳面のページが自分で持っている情報を、紙の場合は別のところに残しておく必要があります。境内で2枚撮ったのはそのためで、撮った写真を読める形にしていく工程は溜まった御朱印の写真をあとから記録として整理する手順にあります。
開発しているアプリについて、ひと段落だけ
旅から帰ったあとの状態——写真はスマートフォンの中、紙は袋の中、どちらも順序が無い——のために、iPhone 用のアプリ「あとから御朱印帳」を作って App Store で配信しています。写真をまとめて選ぶと、撮影日が参拝日の初期値として入った状態で並び、紙の日付と食い違うところを和暦で直してから、冊とページに入れます。記録は端末の中に保存され、ログインもアカウント登録も要りません。1冊目は購入なしで件数の制限なく記録でき、2冊目以降と、取り込んだ写真を2枚以上まとめて冊に入れる操作、PDF・CSV の書き出しは買い切りの「台帳フル」に含まれます。購入で使えるようになる範囲は料金の案内にまとめていて、価格は App Store の表示をご確認ください。
境内を出る前に
- 渡された紙をそのまま受け取る。何も間違っていません。
- お納めする額は授与所の掲示に従う。掲示が無ければその場で伺う。
- 紙を平らに、全体が入るように撮る。
- 寺社名が分かるものを撮る。
- 貼るかどうかは後で決める。その判断に期限はありませんが、2枚の写真にはあります。
よくある質問
- 書き置きは、御朱印帳に直接書いていただくものより格が下なのでしょうか?
- どちらが上かを決める基準はありません。両方を扱っている寺院の説明では、書き置きは「あらかじめ用意された御朱印を紙でもらう形式」であり、並ばずに受けられる・その場では書けない意匠や期間限定のものが出せる・帳面を持たずに参拝できる、という利点が挙げられています。直接書いていただく形を基本にしている神社の説明でも、神職が不在のときは書き置きでの対応になると書かれているだけで、どちらかを低く扱う記述はありません。
- 日付の欄が空いています。自分で書き入れてよいのでしょうか?
- 全国共通の決まりはなく、扱いは寺社ごとに違います。渡すときにその日の日付を書き入れてくださる寺社もあり、参拝者が書き入れることを想定して空けている寺社もあり、あらかじめ印刷された日付が入っていて参拝日と一致しないこともあります。その場で伺えるなら伺うのが確実で、伺えなければ紙には手を入れず、参拝日は記録の側に残してください。境内で撮った写真の撮影日時が、そのまま参拝日の手がかりになります。
- いただいた紙は、御朱印帳に貼らなければいけませんか?
- その日のうちに貼る必要も、必ず貼る必要もありません。帳面に貼る人、書き置き用の透明なポケットが並んだファイルに入れる人、いただいた袋のまま保管する人がいます。特定の寺社がどう考えているかを知りたいときは、次にその寺社へ参拝したときに社務所(納経所)で伺うのが確実です。
- 書き置きをいただくときに、お納めする額はどう決まりますか?
- 寺社によって異なるので、外部のサイトが額を書くべきことではありません。授与所の掲示に従い、掲示が無ければその場でお尋ねください。無人の授与所に紙と箱が置かれている場合は、箱のそばの掲示がそのまま案内になっています。
- 何枚もの書き置きが束になって、どれがどこのものか分からなくなりました
- 並べて一度に撮らず、一枚ずつ撮ってから、読める文字だけを拾ってください。寺社名と、日付があればその日付です。読めないものは後回しにして読めるものを先に確定させると、残りは前後の記録から候補が絞れます。墨書はいちばん読みにくい部分なので、印刷された文字・朱印の形・同じ日に撮ったほかの写真から当たるほうが早く決まります。