納経帳には日付が入らない。重ね印の参拝日を記録に残す方法
納経帳の墨書には参拝日が入らないことが多く、2巡目以降は同じページに朱印を重ねる扱いもあるため、何巡目の朱印がいつのものかは紙から読み取れません。残す場所は紙の外で、朱印をいただいたその日のうちに、宿や帰りの車内などでページを1枚撮れば、写真に記録される撮影日がそのまま参拝日の記録になります。毎回撮るのが負担なら、打ち始めと結願の2回だけ撮り、巡・打ち始め・結願・メモの4列の一覧に書いておけば、その巡の期間が残ります。重ね印の扱いは霊場や札所によって違うので、当日の掲示と納経所で確かめてください。
この記事の要点
- 納経帳には参拝日が書き入れられないことが多く、扱いは霊場や札所によって違います
- 重ね印では朱印が同じページに重なり、どれがいつの押印かを紙から見分けられません
- 朱印をいただいたその日のうちにページを撮れば、撮影日がそのまま参拝日の記録になります
- 毎回撮れないときは打ち始めと結願の2回だけ撮り、巡数と日付を一覧に書きます
- すでに回った巡も、道中の写真を撮影日の順に並べれば期間をかなり起こせます
この記事は「スマホに溜まった御朱印の写真を、あとから整理して記録する手順」の一部です。
この記事は、日付の入らない納経帳で、何巡目の参拝がいつだったかを紙の外に残す方法だけを扱います。納経の作法や、霊場・札所ごとの扱いの違いには踏み込みません。
納経帳に参拝日が書かれていないのは、書き忘れ?
多くの場合、書き忘れではありません。霊場を巡っていただく納経帳では、墨書に参拝日を入れない形が多く見られます。 ふだんの御朱印帳では「奉拝」の文字の近くに和暦で参拝日が入る書式が一般的なので、それを見慣れていると書き忘れに見えます(御朱印の日付が和暦で書かれる理由と、記録に移すときのずれは、別の記事にまとめました)。
ただし、これは霊場や札所によって違います。日付を書き入れるところもありますし、同じ霊場の中で扱いがそろっているとも限りません。この記事では「手元の納経帳に日付が入っていない」という前提で話を進めます。
結果として、1巡目の時点ですでに、紙に残るのは「どこでいただいたか」だけで、「いつか」は残りません。1巡だけなら、覚えている範囲で困らないかもしれません。困り始めるのは2巡目からです。
重ね印とは? 2巡目から同じページに朱印が重なる
2巡目以降に、1巡目と同じページへ朱印を重ねていただく扱いを「重ね印」と呼びます。 新しいページを使わず、墨書は1巡目のまま、巡るたびに朱印だけが重なっていく形です。
重ね印を受けられるか、墨書をし直すか、新しいページにいただくかは、霊場や札所によって違います。当日の掲示と納経所で確認してください。
この記事で扱うのは重ね印の是非ではなく、重なったあとに何が読み取れなくなるかです。
紙の上では、何巡目がいつだったか分からなくなる
重ね印で3巡すれば1つのページに3巡ぶんの朱印が重なりますが、どれが何巡目の、いつの押印かは紙から読み取れません。 同じ印が近い位置に重なるので、朱の濃さや位置のわずかなずれのほかに見分ける手がかりがありません。そもそも日付が無いので、見分けられたとしても「いつ」は出てきません。
具体的に失われるのは、次の3つです。
- 巡ごとの期間。 1巡目をいつ打ち始め、いつ結願したか。
- 何回かに分けて回ったときの区切り。 1つの巡を数回の旅に分けたとき、どの旅でどこまで回ったか。
- 札所ごとの参拝日。 同じ巡の中で、その札所に伺ったのが何日だったか。
どれも、回っている最中は覚えていられます。ところが2巡目と3巡目の記憶は混ざりやすく、数年たつと「この札所では雨に降られた」という手がかりも、どの巡のことだったか怪しくなります。
紙に日付が残らない以上、この3つは紙の外に残すしかありません。 出発点になるのは写真の撮影日です。撮影日から参拝日をたどる考え方と、撮影日が参拝日とずれる場合については、写真の撮影日を手がかりに参拝日を絞り込む記事に書きました。納経帳でも同じ考え方が使えます。
紙の外に残す3つの方法
残し方は「札所ごとにページを撮る」「打ち始めと結願だけ撮る」「巡数と日付を一覧に書く」の3つで、手間と、残る日付の細かさが違います。 組み合わせても構いません。
| 残し方 | 残る日付 | 手間 | これだけでは残らないもの |
|---|---|---|---|
| 札所ごとにページを撮る | 札所ごとの参拝日 | 札所の数だけ撮る | 何巡目か |
| 打ち始めと結願だけ撮る | 巡の始まりと終わり | 1巡に2枚 | 途中の札所の日付 |
| 巡数と日付を一覧に書く | 書いた日付 | 区切りごとに1行 | 朱印の見た目 |
朱印をいただいた日のうちに、そのページを撮る
朱印をいただいたその日のうちにページを1枚撮れば、写真に記録される撮影日が、そのまま参拝日の記録になります。 写真には撮影日時が書き込まれるので、日付を手で書く必要がありません。
撮影日は日付の単位で残るので、境内を出てから、その日のうちに宿や帰りの車内で撮れば足ります。境内で撮る場合は掲示と納経所の案内に従い、分からなければ境内では撮りません。撮影についての考え方は御朱印を撮るときに寺社ごとの案内をどう確かめるかにまとめています。旅の終わりにまとめて撮ると、撮影日が最終日にそろってしまい、札所ごとの参拝日は残りません。
もう1つ利点があります。巡ごとに撮った写真を並べると、朱印が重なっていく様子がそのまま残ります。 1巡目の写真と2巡目の写真を見比べれば、2巡目で加わった朱印の見当がつきます。紙だけでは見分けにくい重ね印を、写真どうしの差で見分けられるということです。
打ち始めと結願の2回だけ撮る
毎回撮るのが負担なら、1つの巡の最初の札所と最後の札所で1枚ずつ撮るだけでも、その巡の期間が残ります。 何回かに分けて回るなら、それぞれの旅の最初と最後で撮っておくと、区切りも残ります。
代わりに、途中の札所ごとの日付は残りません。あとで必要になったら、道中のほかの写真から起こすことになります(次の節)。
巡数と日付を一覧に書く
写真とは別に「巡・打ち始め・結願・メモ」の4列だけの一覧を作っておくと、写真を探さなくても全体が見渡せます。 写真は日付を正確に残しますが、何巡目かは写真には書かれていないからです。
| 巡 | 打ち始め | 結願 | メモ |
|---|---|---|---|
| 1巡目 | 2018年4月 | 2019年11月 | 3回に分けて回った |
| 2巡目 | 2021年10月 | 2022年5月 | 2回に分けて回った |
日は分かれば日まで、分からなければ月までで構いません。推定で入れたものは、メモに「推定」と書いておきます。
すでに何巡か回ったあとで、写真から起こす手順
ページを撮っていなくても、道中で撮った写真を撮影日の順に並べれば、巡ごとの期間はかなり起こせます。 山門や本堂、宿、道中の風景など、札所の近くで撮った写真が残っていることが多いからです。
- 写真アプリで、巡礼に出ていた時期の写真を撮影日の順に見ます。
- 写真が続いている日のまとまりを、1回の旅として区切ります。 数日続いて、しばらく空く。その空白が区切りです。
- 区切りを古い順に巡へ割り振ります。 結願したと覚えている旅までが1巡目、その次の旅からが2巡目です。
- 一覧に書き、決めきれないところは「推定」と残します。
旅の区切りは写真で分かっても、どの旅がどの巡だったかは記憶に頼るところが残ります。空欄にせず推定として入れておけば、あとで手がかりが出てきたときに直せます。
開発しているアプリの場合
開発しているアプリ「あとから御朱印帳」は、写真の撮影日を参拝日の初期値にして記録を作れる iPhone のアプリです。 写真ライブラリから複数枚をまとめて選ぶと、撮影日が入った状態で、取り込んだ写真の一覧に並びます。写真ごと、または範囲をまとめて参拝日を直してから、冊とページに入れます。撮影日が読み取れない写真は取り込んだ日が初期値になるので、そこは直してください。道中で撮りためたページの写真を一度に取り込み、冊に入れ終えるまでの操作は、写真をまとめて登録する手順として別の記事で順を追って説明しています。
重ね印を記録するときにできることと、できないことは次のとおりです。
- 同じ寺社に、参拝ごとの記録をいくつでも持てます。 1巡目と2巡目に撮った同じページの写真を、それぞれの参拝日で別の記録にします。
- 寺社名で検索すると、その寺社の記録が参拝日の新しい順に並び、どの冊の何ページかも出ます。
- 巡数を数える機能はありません。 メモに「2巡目」と書いておけば、メモも検索の対象なので「2巡目」で引けます。
このアプリでは、冊に入れた記録は冊の末尾の新しいページに加わり、ページ番号は自動で振られます。そのため2巡目の記録は、1巡目の記録と同じページには入りません(上下の移動で並び順は変えられます)。紙の何ページ目の朱印かも残したいときは、メモに書き添えてください。また、保存されるのは長辺 2,048px 程度に縮小した写真です。重なった朱印の細部まで見比べたいときは、元の写真も写真ライブラリに残しておくと安心です。
1冊目は購入なしで件数の制限なく記録でき、取り込んだ写真を1枚ずつ冊に入れるのも購入なしです。納経帳と御朱印帳を別の冊にするなど2冊目以降を作ることと、取り込んだ写真を2枚以上まとめて冊に入れることは、買い切りの「台帳フル」の範囲です。購入で増えることは料金の節にまとめています。価格は App Store の表示をご確認ください。
溜まった写真を1か所に集めてから冊とページに並べるまでの全体の流れは、「スマホに溜まった御朱印の写真を、あとから整理して記録する手順」にまとめてあります。
よくある質問
- 納経帳に、自分で参拝日を書き足してもよいですか?
- 霊場や札所の考え方が関わることなので、この記事では勧めも止めもしません。迷うなら紙には手を入れず、写真と一覧に日付を残しておけば、書き足すかどうかはあとからでも決められます。気になる場合は納経所で尋ねてください。
- 納経所の前で、帳面の写真を撮ってもよいですか?
- 境内での撮影の可否は寺社ごとの判断で、掲示があればそれが最優先です。帳面を受け取ったら納経所の前を離れ、書き手やほかの参拝者が写り込まない場所で、自分の帳面のページだけを撮るようにすると、周りの妨げになりません。掲示が無く分からないときは境内では撮らず、境内を出てからその日のうちに撮っても、撮影日は同じ日になります。
- 2巡目から新しい納経帳に替えた場合は、どう記録しますか?
- 帳面ごとに別の冊として記録し、巡数の一覧に「どの帳面か」の列を1つ足します。紙の帳面と記録の冊が1対1で対応していれば、何巡目がどの帳面に入っているかを取り違えません。
- ページを撮り忘れた札所があります。
- 前後の札所で撮った写真の撮影日のあいだに、その札所の参拝日が入ります。同じ日に続けて回っていれば、ほぼその日と決められます。決めきれないときは、前後の日付の範囲をメモに書き、推定として残してください。
- 納経帳と御朱印帳の両方を持っています。記録は分けたほうがいいですか?
- 紙の帳面と同じ単位で分けておくと、見返すときに帳面と突き合わせやすくなります。同じ寺社の記録が2つの帳面にまたがることがあるので、寺社名の表記だけはそろえておくと、名前で探したときに両方がまとまって出てきます。